ここまで散々ノルマ制を擁護しておいて言うのも忍びないのですが、ノルマ制の手法にずっぽりと浸かり、新しい価値を創造する努力ができないライブハウスは今後潰れていくと思います。ノルマ体制自体は反対ではありませんが、今後は正直きつい。
ノルマ制の弊害を一つ挙げます。
それは、前回語ったような「思考停止バンド」が淘汰されずにいつまでも出演し続けることです。
当然客足が伸びるわけがなく、ダメライブばかりがスケジュール表に並ぶことになるのです。ダメバンドがハコから搾取され続け、ミュージシャンが育たない構図となります。客足がさらに遠のくと、その地域のシーンが衰退します。
シーンの衰退はマーケットの縮小です。撤退を余儀なくさせられるハコも出てきます。
ノルマ制だけに依存して営業を続けている店は、いずれは自分たちの首を絞めることになるのです。この部分はノルマ制の弊害として議論されるべきだと思います。
特に、ノルマ制の出演依頼を次から次へとメール営業をしているだけのライブハウスは要注意です。
顧客とのつながりを持っていないから、飛び道具的なメール営業を繰り返すのです。
こういったハコにはバンドはついていません。
また、バンドへの高飛車な態度と出演させてやっている感。ちらりと覗いただけで、終了後の説教指導。ノルマ制を「当たり前」だと思っており、当の本人が「ライブハウスの顧客はバンドである」に気づいていないようなライブハウスも注意です。
バンドにお客様のように接しろと言っているのではありません。
「で、他にもライブハウスあるんですけど、そちらに出演するメリットは何なんですか?」に答えられるような営業をしていかないと、今後やばいのでは?という事です。
ノルマ制を批判したりハコ側のエンドユーザーへのサービス不足や怠慢を指摘する声が上がってきているということは、バンド側のニーズが変わってきているのです。
少なくとも「出れればOK」で終わる時代は過ぎてますよね。
ライブハウス側も民間企業であると言う事を再度認識し、ダメバンドからノルマを搾取し続ける古い手法から脱却し、「顧客(バンド)の成功」を視野に入れたコンサルティング分野ってあたりにに本気で乗り出していかないと、この先はフツーにやってるとかなり厳しいと感じます。WIN-WINの関係にならないと難しいのではないでしょうか。
良いライブハウスには「付加価値」がある
ダメなライブハウスもありますが、やはり良いライブハウスもたくさんあります。
例えば、出るバンドの質にこだわっていたりします。なので、簡単には出られなかったりします。だからスケジュール表に大物の名前が並びます。そうなってくるとライブハウス自体にネームバリューが出てきます。
そうすると出演する事自体に価値が出てきます。
自然と「出演させてもらいたいバンド」が集まり競争が生まれますよね。
「2014年○月○日 渋谷○○にて初の企画ライブを実行。○人を動員する。 とかバイオグラフィーに書いていると、おお!すげえ」となったりするのです。大きなPR材料でしょう。
これも一つの付加価値ですよね。
やはり、演奏する側からも「出たい」と思えるハコは、プラスαの企業努力を更にしているのです。